家計見直しガイド
第1章 家計の見直し5つのポイント
はじめに
私たちを取り巻く環境は目まぐるしく変わっています。特に医療・年金・税金・ 社会保険など、家計に直結した制度変更が数多く行われています。収入は増えないのに、支出が増えていく。金利も史上最低...。このままでは、将来に向けての教育資金や住宅資金、老後資金をどのように捻出すればいいのか? と不安に思い、熱心に家計簿をつける...。
それなのに毎月赤字なのは何故?
「贅沢をしてないのになぁ...」
「節約が上手にできていないから...」
「また小遣いを減らさなければ...」
「お金って本当に貯まらない...」
いいえ、そうではありません。 家計が思い通りにならないのは、毎月の収入が増えないからでも、毎日の支出を抑えられないからでもありません。「豊かな生活」を実現している家庭は、ただ【正しい家計の見直し方】を知っているだけなのです。
そして、多くのご家庭は、この【正しい家計の見直し方】を知らずに、無理な節約をしています。ですから、一部の【正しい家計の見直し方】を知っているご家庭だけがゆとりある生活をしているのです。本コラムをお読みなっている皆さまは、どんな事でお悩みですか。
「貯金が思うようにできない。」
「節約の仕方がわからない。」
「このままでマイホームの夢は実現するのだろうか。」
「子供に十分な教育を受けさせてあげたい。」
「定年時、いくらあれば老後の生活ができるのか。」
これらのお悩みは家計を見直す事できっと解消するはずです! では、家計の見直しと聞いて、どういう事を思われますか。キーワードはいくつかあります。
「家計簿」「節約」「水光熱費」「保険」「マイホーム取得」「住宅ローン」「教育資金」「資産運用」「投資」「老後」「年金」「人生設計」「ライフプラン」
皆さま、この中に不安に思っていることや、気になるキーワードはありますか。 どれかひとつでも気になる事があるという方は、これから本冊子を熟読して下さ い。きっとどこかにヒントがあるでしょう。
そして皆さまは家計を見直した事によって、いつの間にか資産が増えていたり、 貯金ができるようになっているのです。
それも無理なく!
本コラムの中では、実際にこの【正しい家計の見直し方】を実践されて効果があった具体例を、簡潔にまとめご紹介しております。
本コラムが、家計の見直しを真剣にお考えの皆さまにとって、今までの「モヤモヤ」 から解放され、積極的な見直しと節約をスタートするキッカケとなることを心よりお祈りします。
【ポイント1】
保険の見直し
保険といっても生命保険と損害保険がありますが、見直し効果が高いのは生命保険です。まず皆さまにお尋ねします。
Q1.今ご加入の保険、誰のために入られましたか?
Q2.その保険、いつまで保障が続けば十分ですか?
Q3.更にその保険はどれくらいの保障額があれば十分ですか?
ちょっと考えてみて下さい。
Q1「誰のために?」という設問には、皆さま、明確な答えをお持ちだと思います。しかしそれがQ2「いつまで?」、Q3「いくら?」の設問になるとキチンと答えられる方が少なくなります。にも関わらず、生命保険加入者の約7割の方が「自分の保障は不十分」と感じておられるのです。逆に「十分」と答えた方はたった25%でした。(生命保険協会調べ)
・自分にとって本当に必要な保障額っていくらなのでしょう。
・またいつまで保険って必要なのでしょう。
・そもそも生命保険って何で必要なのですか。
こういう事は意外と誰も教えてくれません。ひょっとして皆さまは、生命保険の営業マンから勧められるがまま入ってきたり、新商品が出る都度切り換えをしてきていませんか。中には友人知人から入って任せているから大丈夫という人もいるでしょう。でも皆さま、何のための生命保険か良く考え直してみて下さい。本当に必要な生命保険ってどういうものでしょうか。大半の方が生命保険に入り過ぎていると思います。
生命保険は一生涯の中で住宅の次に高い買い物ともいわれています。一世帯あたりが支払っている生命保険料は平均で年間約53万円です。これを30年間支払い続けると約1600万円という金額になります。
これをただ何となく毎月支払っていて良いのでしょうか。保険に入っていれば安心だからと、安心料だけで1600万円の支払いは多くないですか。
では、あなたにホントに必要な保障額はいくらでしょう?
求め方はとてもシンプルです。
必要保障額 = 将来の支出 ― 将来の収入 ― 預貯金
○将来の支出・・・生活資金、住居資金、教育資金、結婚援助資金、債務返 済資金、死亡費用
○将来の収入・・・遺族年金、死亡退職金、妻の収入
さあ一度計算してみて下さい。この計算式で求められた不足分を補うものが生命保険です。もちろん、現金、預貯金が十分にあって、それで全てまかなえるとい うのであれば保険は必要ありません。でも、それがないから、安い掛け金で大き な保障を買っているわけです。
毎月数万円払っている保険ですから、もう一度よく確認して下さい。
例えば、自動車保険、今インターネットで、保険料の比較をするサイトが多数存在します。そこで見直しをされたケースで、最高50%〜60%安くなったケー スがありました。
また、月払を年払に変更するだけで、保険料は5%ぐらいダウンします。月々払っている人はちょっと考えてみて下さい。年5%の利息がつく銀行預金は今のご時勢残念ながらありません。そう考えると、この保険料の割引は、お得ですよね。
更に自動車保険に加入されていると、今はどこの保険会社も無料でロードサービスがついています。「キーのとじ込み」「バッテリーあがり」「脱輪時の引き上 げ」「レッカー移動」...等々。
だから改めてロードサービス会社と契約をすることも必要なくなります。これで年間数千円のお得。自動車保険に加入している人は、今一度付加サービスを確認してみましょう。
火災保険も自動車保険と同じく他社との比較で、安くなるようなケースもあります。1社だけの保険料を見るのではなく、やはりいろんな会社の保険料を比較された方がいいでしょう。
払込方法も月払から年払への変更で自動車保険と同じく年5%お得。更に火災保険の場合は一括払(数年分の保険料を前納)という制度があり、最高約30%ダウンも可能です。
例えば、30年間の保険料を全て一括で払うと20年分の保険料で済みます。ナント10年分の保険料がお得!
次に海外旅行へ行く場合、海外旅行傷害保険に入る人が多いのですが、今はほとんどのクレジットカードにこの海外旅行傷害保険がついていますので、海外旅行 へ行くからといって、改めて海外旅行傷害保険に入る必要もありません。
海外旅行に行く時、カードをお持ちの方はよく確認してみましょう。
【ポイント1】のまとめ
1 加入目的を明確にする
2 必要保障額をきちんと計算する
3 年払(前納)で保険料の割引を活用する
4 同じ内容で数社から見積もりをとる
【ポイント2】
住居費の見直し
家計費の中では、一番ウエイトが高いのが住居費ではないでしょうか。ここでまた皆さまに質問です。
Q1.毎月の住居費はおいくらですか?(家賃or住宅ローン返済額)
Q2.収入に対する住居費の割合は何%?(Q1の金額 ÷ 毎月の収入 × 100)
例えば、給料30万円もらっている方が、家賃が9万円を負担していれば、住居費の比率は30%です。
これって高いですか? 安いですか? 妥当ですか?
家に対しての価値観は人それぞれですが、住居費の比率は平均的に2〜3割とい われています。
✔住居費・・・・・・・・・「20〜30%程度」
食費・・・・・・・・・・「15〜20%程度」
教育費・・・・・・・・・「10〜25%」
光熱費・通信費・・・・・「8〜10%以内」
保険・・・・・・・・・・「8〜10%以内」
こづかい・・・・・・・・「8〜10%以内」
日用品費・・・・・・・・「5%程度」
レジャー費・・・・・・・「5%以内」
✔貯蓄・・・・・・・・・・「5%〜」
これは全国の平均的な家計費の内訳です。やはり住居費が一番のウエイトを占めています。普段気付きませんが、見直し効果が大きいのがこのすごく大きな固定費です。
皆さま、貯金のウエイトは何%ぐらいでしょうか。家に30%かけて、貯金に5% ...。これってどう思われますか。このウエイトを、家に25%、貯蓄に10%に するだけでも、将来大きく変わってくると思いませんか?
外国では住居費率10%が平均という国もあります。また日本でも住居費率が1 0%〜10%未満という方もいらっしゃいました。でもここまで下げるのは、現 実的には無理かもしれませんが、少しでもここを見直すことによって、皆さまの 家計費って大きく変わってくると思います。
まず、ご自分の今お支払いのローンが適正かどうかを調べましょう。 「高過ぎませんか。」「無駄な利息を払い過ぎていませんか。」 ちょっと考えてみて下さい。ローンを組むと返済総額の3割ぐらいは利息です。 少しでも支払利息は減らしたいですね。そこで、
可能な範囲で『繰上げ返済』を考える。 もしくは『借り換え』を考える。
『繰上げ返済』には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」と2つの方法があります。それぞれにメリットがあります。一般的に「期間短縮型」の方が効果は大き いといわれています。
「期間短縮型」での注意点は今ある貯蓄を全て繰り上げ返済にまわさない事。繰り上げ返済後、毎月の返済額は変わりませんので、何かまとまったお金が必要な 時、またどこかで借りてこなければいけません(お子様の教育ローン、車のロー ン)。となると、もう本末転倒です。
毎月の負担を減らすという点では「返済額軽減型」の方が良いでしょう。負担額が減った分、違うものにつかうことができますから(子どもの教育費や、今株が 安いから安定株でも買おうかなとか何か違う運用を考えることもできます。)。
『借り換え』は、単純に、今借りている金利よりも安い金利のローンに切り替えるということです。ただ、この借り換えの場合もメリットばかりではなく、デメ リットもありますので注意して下さい。
諸費用がまた新たにかかってきますから、そこで30万〜40万ぐらいはみておかれたほうがよいでしょう。一般的にローンを借り換えた方がいい場合は、
1 ローンの残債が1000万以上
2 返済残期間10年以上
3 金利差1%以上
これを目安にして下さい。
ご自身で色々な金融機関で試算してもらうとよいでしょう。その中にきっとあなたに合った最適な見直しプランが見付かるはずです。
ズバリ、家賃を見直すことです。
家賃を見直すといっても、もう今の家に住んでいるのだから、と思われるかもしれませんが、発想を切り替えて下さい。今、家賃9万円の家に住んでいて、住居 費率が大体30%位という方。これを25%前後まで下げ、家賃8〜7万円の家に引っ越すだけで、1〜2万円、他の項目に使えるようになるんです。
極端な話、家賃6万円の家を探せば、3万円浮くわけです。一概にそれがいい悪いとは言えませんが、これも見直すポイントのひとつだと私は考えます。
だから、場合によっては引っ越すのも良いでしょう。ただこの場合、引越し代や新しい家の敷金等が新たにかかりますからよく考えて実行して下さい。(これら を半年位でペイできたケースもありました。)
もしくは、マイホーム計画を立てる事。頭金作りをしていき、今払っている家賃よりも月々の負担が少ないローンを組めるように頑張る。そういったことを考えて住居費の縮小を実現させて下さい。
賃貸の方もそういう発想を持つ事で、ゆとりが生まれてくると思います。
【ポイント2】のまとめ
1 収入に対する住居費率を抑える
2 0.1%でも安い金利を選ぶ
3 ローンの見直しやマイホーム計画は必ずシミュレーションをする
【ポイント3】
日常生活での節約
Q1.水光熱費の節約はしている?
Q2.スーパーの買い物は1円でも安いものを探す?
Q3.自家用車を所有している?
水道料金や光熱費の節約というと、すごくギスギスした節約というイメージがありますが、気持ちを切り替えてこの節約は「省エネだ!」「地球に優しいことを している!」... 是非そういうイメージを持ってやってみて下さい。
「この節約をする事でとてもエコなことをしているんだ、二酸化炭素の排出を削減できているんだ」と。それぐらい規模の大きな話で節約をしていればギスギスし た思いをせずに楽しく節約できると思います。
ここで節約効果の大きい(節約額の大きい)事例を紹介します。これだけでも年間数万円の節約ができます。
朝シャンをしない | 12,960円 |
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水道の蛇口をこまめに止める | 21,600円 |
食器洗いはため洗い | 19,440円 |
食器洗い乾燥機を使う | 14,040円 |
やかんと電気ポットの差 | 8,964円 |
エアコン買い換え | 14,150円 |
冷蔵庫内の整理 | 6,380円 |
この中で何か出来そうな事があれば、是非今日から実践してみて下さい。その他にもエアコンの温度を±1度変えて使うだけで10%の省エネ、年間約2〜3,000円の節約効果があります。
続いて普段の買い物での節約です。皆さまは次に挙げる事例... 心当たりはない ですか。あるという方は節約する余地がありますよ。
✔スーパーのお買い物では、1円単位の節約をするが→ 外食で○千円、○万円をパァ〜っと使ってしまう
✔特価売りや、まとめ売りがお買い得→ホントに必要なものですか、雰囲気買いに注意
✔銀行ATMで時間外に良く引き出す、またはコンビニATMを良く使う → ATM手数料105円、210円も積み重なれば...
✔クレジットカードをよく使う→ 支出の先送り、見えないお金を作ってます、買わない選択も
小さな節約をしても、大きな無駄遣いがないように、日頃から小さなことを心掛けていきましょう!
自家用車を持っておられる方、車の維持費って結構かかりますよね。税金、保険、 車検代、駐車場代、ガソリン代。これらを見直すにあたり、場合によっては、車を手放して、必要な時だけタクシーやレンタカーを使うという選択もあります。
具体的に車の維持費がどれだけ掛かっているか、みてみましょう。
「2000CCクラスの車を所有している場合の一例」
自動車税 | 45,000円/年 |
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任意保険 | 72,000円/年 |
駐車場代 | 120,000円/年 |
ガソリン代 | 72,000円/年 |
車検代 | 100,000円/2年 |
自動車重量税 | 50,400円/2年 |
自賠責保険 | 27,720円/2年 |
大まかな金額ですが、年間の維持費が約40万円。月々に換算すると3.3万円。 近所のスーパーへはバスやタクシーを利用し、遠出するときにはレンタカーを借 りる。どちらがお得か良く考えてみて下さい。
タクシーで買い物に行くというとすごく贅沢な気もしますが、やはり車を持って いる方が贅沢ですね。
【ポイント3】のまとめ
1 ギスギスした節約ではなく、楽しい節約を!
2 そしてその心掛けは、毎日毎月繰り返す!
3 家計の3大固定費「家」「保険」「車」を考え直す
【ポイント4】
資産運用を考える
ポイント3までを実行し節約できたお金をどうしようか。次に考えなければな らないのが資産運用です。
ここでまた皆さまに質問です。
毎月(もしくは毎年)貯金をしていますか?
「はい」とお答え頂いた方に更に伺います。
Q1. 毎月(毎年)いくら貯金していますか?
Q2. その貯金はいつまで続けるのですか?
Q3. その貯金は何のためにしているのですか?
漠然と将来が不安だからと貯金をしている人もいるでしょう。でも、ひょっとし たら、その貯金は貯め過ぎかもしれませんよ。逆に、少な過ぎるかもしれません。 ペースが追いつかない時には多少リスクをとって資産運用を考えましょう。
ポイントはその貯蓄計画(資産運用)の目的が明確になっているかどうかです。 皆さまが将来にわたってどれだけのお金が必要か、それがいつ必要か、を明確に しておくべきです。
しかし、無理にリスクを取る必要はありません。目的に応じて、投資先(商品) をチョイスしていきましょう。
すぐ使うお金 | 「生活費」「教育費」など 《換金性に優れている金融商品「流動性商品」》 普通預金、通常貯金、ヒット、MMF...等 |
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使い道が決まっているお金 | 「将来の教育費」「マイホームの頭金」など 《安全性に優れている金融商品「確実性商品」》 定期預金、定額貯金、スーパー定期、ニュー定期、公社債投信...等 |
しばらく使わないお金 | 「老後資金」など 《収益性に優れている金融商品「利殖性商品」》 株式、株式投資信託、外貨預金、金現物...等 |
【ポイント4】のまとめ
1 「目的」「期間」「金額」を明確に!
2 無理にリスクを取らない!
3 ポートフォリオを組み、リスク分散!
【 ポイント5】
目標(ファイナンシャルゴール)の設定
皆さまがこれから生涯にわたり使うお金、これっていくら掛かるかご存知です か? ここでまた皆さまに質問です。
Q1.今までライフプランを立てたことがある?
Q2.老後資金にいくら必要か知っている?
Q3.子供の教育資金にいくら掛かるか知っている?
これくらいは必要かと思いながら貯金をしていても、実際老後資金にいくら掛か るか知らないと将来家計がショートしてしまうかもしれません...。ただ何となく 漠然と貯金はしています、といわれてもホントにその貯金のペースで間に合うのでしょうか。
私たちの人生って、どれだけ費用が掛かるのでしょう?
これをきっかけに一度考えてみて下さい。今後必要な生活費、住居費、保険料、教育資金、老後資金、レジャー費・・・等々。
ライフイベントって聞いたことはありますか。例えば「子どもが学校に入学する」とか「結婚何周年で旅行に行く」というようなイベント事をライフイベントといいます。
そんなライフイベントも将来必要なお金として準備しておきたいですね。それら を考えてご自身のキャッシュフロー表(シミュレーション)を作成してみましょう。そして今から何を改善していけばいいのかを早めに気付いてほしいのです。
シミュレーションを行うことで、自分自身の現状を知ることが出来ます。夢を思 い出し、夢を発見し、これからの人生を考えましょう。そうすることで夢実現の可能性がぐっとあがり、いきがいのある毎日になります。これこそがライフプラン作成の効果だと思います。
夢、目標が明確になれば「節約」や「貯蓄」が楽しく出来るはず!
1 ライフイベントを確認!
2 将来の支出と収入をシミュレーション!
3 ライフプランを立てて、将来の目標設定!
4 ゴールを決めることで「節約」や「貯蓄」を楽しむ!